・ 後見人横領 家裁に過失 国へ賠償命令...広島高裁判決
報道によると、 交通事故で脳に障害を負った広島県福山市の男性(55)が、成年後見人のめい(42)に預金を横領されたのは広島家裁福山支部による監督などに問題があったとして、国に約3500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、広島高裁であった。宇田川基裁判長は、めいには知的障害があり、横領の発覚後、同支部がめいを適切に監督するのを怠ったとして、請求を棄却した1審・広島地裁福山支部の判決を変更し、国に231万円の支払いを命じた。成年後見人による不正行為は相次いでいるが、後見人の監督責任をめぐり、家裁の過失が認められるのは異例。
控訴審判決によると、めいは2003年12月、交通事故で寝たきりになっていた男性の財産を管理する後見人になることを家裁福山支部に申し立て、04年3月に選任された。
宇田川裁判長は、同支部の家事審判官が、横領が発覚した06年3月以降も、キャッシュカードなどをめいに所持させたままで横領の防止措置を取らなかったとし、その間に男性の預金から231万円が引き出されており、「家事審判官の過失は明らか」とした。
めいは05年2月~06年8月に男性の預金から約3800万円を着服したとして、09年に業務上横領罪で懲役1年8月の実刑判決が確定している。
知的障害のあるめいを後見人に選任した点について、宇田川裁判長は、横領事件で刑事責任能力が認められたことなどから、「訴訟の判断に直接影響を及ぼす事情にはならない」とした。
最高裁によると、10年5月~昨年6月の13か月間に判明した成年後見人による不正は242件(被害総額26億7500万円)に上る。
日本成年後見法学会理事長の新井誠・中央大法学部教授(民法)の話「成年後見人を選任したり監督したりする調査官や家事審判官が不足している。判決を機に、家裁は専門知識を持った人材を増やすなど態勢を整えるべきだ」

